導入実績
購買・調達プロセス管理

三井造船特機エンジニアリング株式会社 様

資材調達プロセスをクラウド化

工事担当・調達・経理・取引先 150 社の業務進捗を見える化し、
見積り・注文・支払い業務の大幅な業務効率化とコスト最適化を実現

三井造船特機エンジニアリング株式会社は、リーマンショック以降、「造船依存の改善」を合言葉に、得意の溶接やプラントメンテナンスをコア技術にして、鉄骨・橋梁・タンクなど鋼構造物の製作などの外販率を約40%まで拡大させてきました。それに伴って増加した、自社調達の効率化とコスト最適化を達成するため、エコシステム型「購買・調達管理」ソリューションによる調達プロセス管理を実現しました。今回は、この調達プロセス管理のクラウド化を実現したキーマンのお二人に、その経緯と効果を詳しく語っていただきました。

調達管理システムとして評価したポイントは、
時代のニーズにマッチしていた点でした
外販ビジネスの拡大で増大した調達コストの最適化を目指す

「三井造船グループで、調達管理システムをクラウド化したのは、おそらく初めてだと思います」
こう語ってくれたのは、三井造船特機エンジニアリング株式会社の総務部調達グループ部長の京極隆氏です。
「三井造船の複数のグループ会社が統合された当社は、溶接技術やプラントメンテナンスといったコア技術を持っています。
以前は、三井造船からの請負が中心でしたが、リーマンショック以降、“造船依存の改善”を合言葉に、“外売”と呼んでいる外販ビジネスを拡大してきました。現在、その割合は、約40%まで増加しています」(京極氏)
これに伴って、自社による資材調達も増えてきました。調達額は年間15億~20億円程度に上りました。
「三井造船からの請負の場合は、資材も提供されるのですが、外売の場合は自社で調達しなければなりません。以前は、これが工事担当ごとの個別調達になっていました。そのために、やり方も調達先もバラバラになりがちでしたし、頼みやすいところに偏る傾向がありました」(京極氏)
そこで、2013年に約3名で調達グループを発足しました。当初の業務は、注文書は手書き、進捗管理はExcelと、人間の力に頼ったものでした。
「現在、毎月250~300件程度の注文書を発行しています。資材などを納入してくる取引先は150社以上ありますから、見積依頼などは、もっと多くなります。調達管理システムの導入は不可欠でした」(京極氏)

調達管理システムの導入目的
  • 1)調達実績データの電子化による、発注統計 の把握と、取引先との進捗管理の実現
  • 2)集中購買による調達コストの最適化
  • 3)システム導入による調達業務の効率向上
調達システムの導入で目指した、時代のニーズとは

「調達で大事なことは、ちゃんと注文でき ること 、ちゃんと支 払いできること 、実 績 データを記録・集計・分析できること、そして コストダウンだと考えています。これを実現 するには、調達グループのシステム化だけで は不十分です。
どうせやるならと、完全なシステム化を狙 うことにしました」(京極氏)
そこで、今回の調達システムでは、業務プ ロセス管理を調達部門だけでなく、関連部 門や取引先でも実現できるクラウド型のシス テムを採用しました。

エコシステム型「購買・調達管理」ソリューションの評価ポイント

「調達管理システムとして評価したポイントは、時代のニーズにマッチしていた点でした」と京極氏は続けます。
「調達専用システムではありませんが、柔軟な業務対応力を備えたクラウド型の業務プロセス管理システムでした。そのため、導入コストや運用コストはリーズナブルですし、ITシステムレベルの管理も不要です。
さらに、PCとネットがあれば、取引先からも利用できます。モバイルを利用すれば、プラントメンテナンスの現場からも、利用できると考えました」(京極氏)

今の時代のPCに慣れている世代なら、
誰でも使えると思います
社内50ユーザー、取引先150ユーザーで、業務を見える化

「今回導入した調達管理システムでは、立ち上げ時に、もっと問い合わせが来ると思っていましたが、意外と少なく、順調にスタートできました」と語ってくれたのは、調達グループで実務とシステム運用を担当している芹川健治氏です。
「取引先の約150社に対して、1時間程度の説明会を2回に分けて実施し、簡単な説明資料と操作マニュアルを提供するだけで、使ってもらうことができました」
「Webブラウザさえあれば、追加アプリをインストールするなど特別な手間とコストをかけなくても利用できます。この点も、順調にスタートできた理由のひとつだと思います。今の時代のPCに慣れている世代なら、誰でも使えると思います。現在も、毎月2-3社の取引先を追加していますが、説明会をしなくても、サービスのアドレスとID・パスワードをポンと送って、資料を見てもらうだけで、"ああ、これなら使えますね"と言ってもらえます」(芹川氏)
工事担当のほうでも、使ってもらえるか、当初は心配していましたが、これも順調に進みました。
「心配していた理由は、工事担当の現場の近くにパソコンやネットが無い場合もあることと、紙ベースのほうが進めやすいと考える人もいたからです。
うまくいった工夫のひとつは、紙ベースの調達依頼書の標準化です。これは、調達グループのもうひとりのメンバーが準備してくれました。
調達システムの導入で、調達業務を標準化できたので、紙ベースの要求依頼書もこれに合わせて標準化しました。必要事項をこの用紙に記入してくれたら、こちらで入力することにしたのです。
工事担当からの調達依頼の形式がバラバラのままだったら、実現できなかったと思います」(芹川氏)

クラウドで組織をまたいで業務プロセスと情報を共有

「調達管理システムのおかげで、調達業務の見通しが良くなりました」と、芹川氏が説明してくれました。「以前は、まず見積り依頼や手書きの注文書をスキャンして、それに膨大な図面や写真を添付してメールなどで送付していました。
相手によっては、容量制限で送れないこともありました。
取引先のほうでも、仕様書や見積書・注文書を郵送したりメールしたりというように、大量のドキュメントの送受信が必要でした。
このすべての内容と進捗が、手書きの注文書やExcelによる管理シートを見ないと把握できない状態でした。
現在は、数回のクリックで、すぐに状況が分かります。調達部門だけでなく、組織をまたいで要求部門である工事担当も進捗状況が分かります。必要なドキュメントは、すべて共有できますし、変更履歴も把握できます。
おかげで、依頼から見積りの提出まで時間が短縮でき、1-2営業日ほど早く提出されるようになったと思います。対応もれもほとんど無くなり、過去の実績との比較で間違いを見つけるのも容易になりました。
さらに経理部門でも、支払い業務を余裕をもって行えるようになりました。
以前は注文書を取引先ごとに分けて経理システムに再入力していたので、月末の3-4営業日前に提出する必要がありました。
今回は経理システムとの連携インターフェースも簡単に実現でき、注文データを直接取り込めるようになったので、月末前2営業日あれば充分に対応できるようです」(芹川氏)

例えば類似プロジェクトの納入価格を確認して、
実績にもとづいた発注が実現できるようになりました
現場でシステム設定できるので、要望にすばやく対応

「私はITシステムのエンジニアではありませんし、情報システム部門のメンバーでもありません。でも、クレオの調達プロセス管理システムでは、業務関連のメンテナンスを自分でやっています」と芹川氏は説明してくれました。
エコシステム型「購買・調達管理」ソリューションは直感的にマウスだけでシステムを設定できます。ネットのサービスやブログなどを使ったことがある人なら、コツを理解すれば、充分に使えると思います。自分たちでシステム設定できれば、要望やアイデアを現場で実現できますし、追加コストもかかりません。今回も、導入時に約20件の要望がありましたが、自分で4ヶ月のうちにほとんど改善できました」(芹川氏)

業務の効率化と購買コストの最適化を実現

「注文書の発行など、手書きで2-3時間かかっていた作業が、20-30分程度で済むようになりました」と、業務の改善効果について芹川氏が語ってくれました。
「従来ならメールや電話や打ち合わせしていた取引先とのやり取りもすべて残っているので、言った言わないといった話もなくなりました」(芹川氏)
また、京極氏がマネージャの立場から導入効果について説明してくれました。
「実際に業務に使いはじめてみて、とても満足しています。まず発注実績がきちんと見える化できた点が大きな効果です。おかげで、これまでのように依頼しやすいところや納期の短いところに注文するのではなく、例えば類似プロジェクトの納入価格を確認して、実績に基いた発注が実現できるようになりました。
今後は、ますます実績データの蓄積を進めて、そこから一層の調達コストの最適化を進めていきたいと考えています。要求部門にとっても、自分たちの実績データが見えてくれば、もっと効果を発揮できるようになると思います」(京極氏)

業務課題
  • 外販拡大に伴う自社調達の増加(年間約 20億円)
  • 個別調達の非効率さ、短納期手配への偏り 傾向
  • 150社以上の取引先への毎月約300件の引き 合い対応
  • 紙やメールによる見積り・注文書発行・支払い業務
導入効果
  • 調達部門・要求部門・取引先で、注文ごと に進捗状況を見える化
  • 業務効率を大幅に向上
  • 見積り期間の短縮
  • 取引履歴を電子化し、調達傾向を集計・分析
  • 購買最適化によるコスト圧縮
  • 購買コンプライアンスの向上